2021-01-12
染み付いていた筈の帰属意識がシールみたいに剥がれて冬の風に遠く飛ばされていくのを見た。
髪を押さえて目を上げると緑色の川の向こう、ガラスの校舎の中でぬいぐるみを握った私が勝気に笑っていた。
何がそんなに怖いのと。
体ごと離別してしまった私は、立ち入り禁止の屋上手前のリノリウムの冷たい床や、色の薄い素描室で、ずっとあのスカートを埃まみれにしている。
多分私はそのうち置いていかれてはまた拾われるだけの何かだ。
靴の裏の血も擦られては取れていく、そしていつか履き潰す。
その時々の私が立ち続けている。
台帳に書きつけた記録から見ると、滞在時間は三分だった。